今回のコミュニティー勉強会は、岡山県真庭市の旧中和村で、シェアフォレスト「はにわの森」を運営されている大岩 功(おおいわ いさお)さんを講師にお迎えしました。
大岩さんは、岡山に移住される前は、大阪のCome on UPシェアハウスにお住まいで、現在も交流が続いています。
はにわの森を軸に、里山暮らしを実践し、子ども向けの自然体験キャンプなどを運営され、シェアフォレストに関わる人たちの輪が、年々広がっています。
そんな地方でコミュニティーを立ち上げ運営されている大岩さんから、コミュニティー作りの秘訣や、地方移住のお話を伺いました。
大岩さんとはにわの森
少し大岩さんとはにわの森について説明します。
大岩さん
デンマークやイスラエルでの海外生活を経験。大阪で教員をした後、地域おこし協力隊として岡山へ。現在は「一般社団法人はにわの森」を設立し、里山資源の利活用や学童向けの自然体験プログラムの運営を行っていらっしゃいます。
シェアフォレストプロジェクト
”混迷する時代にエコにソーシャルにエシカルに生きたい。サステナブルな里山暮らしをシェアする古くて新しい共有林。”
そんな人向けに里山ぐらしを提案しています。
また、日常生活では体験することが難しくなった、自然体験プログラムの運営を行っています。
詳しくは、はにわの森のホームページを御覧ください。
https://www.haniwanomori.com/
コミュニティー作りの秘訣
「コミュニティー作り」は言うのは簡単ですが、実践するには時間や労力がとてもかかります。コミュニティー作りに取り組まれている方でも、苦労されているお話をよく聞きます。
「コミュニティー作りを実践してみたが続かない。」
「なかなか、コミュニティーが成長していかない。」
コミュニティー作り実践者である大岩さんに、コミュニティー作りの秘訣を伺いました。
コミュニティーの三間(サンマ)
お話の中で、「三間(サンマ)」というキーワードについてお話がありました。
“時間・空間・仲間”
同じ時間と空間を共有していく中で仲間になり、それがコミュニティーに育っていくという考えで、大岩さんはこの「三間」を大切にしてコミュニティー運営をされています。
「三間」のお話を聞いて、深くうなづかされました。
シェアハウスを通じてコミュニティー作りをしていますが、時間と空間を共有するのが意外に難しく、コミュニティーが上手く育たないことがあります。
みんなが忙しく生活している中で、いかに時間・空間を共有していくか、難しいですが取り組んでいかなければいけない課題だと思いました。
また、大岩さんは「三間」に加えて「手間」をかけることも大切に考えています。
現代では便利になって、何も意識しないでできることスマホや家電製品など、便利なものは沢山あります。現代の都市生活をしている私達は不便だった頃のことをあまり知りません。
もともと不便だった頃を知らずに、便利な生活をしているので、あえて今ではやらなくなった事を、自然の中でやってみることの、大切さをお話されていました。
コミュニティーの間取り
大岩さんは、里山にもコミュニティーが育ちやすい「間取り」があるとお話されていました。
”工房・厨房・縁側”
この3つがあることで、良いコミュニティーが育つそうです。
「生きるために一緒に何かをする仕組み」が大切なんだと思いました。
同じ目的を持って、共同作業できるような間取り作り(仕組みづくり)が、コミュニティーが育つのに必要なようです。
地方移住のお話
地方への移住を考えている人が増えてきていますが、実践するのは少しハードルが高いことだと思います。
地方移住の先輩としてお話を伺いました。
移住することの決断
永瀬
地方に移住するのには、大きな決断があったかと思いますが、決断までのプロセスを教えてください。
大岩さん
当時、中学校の教員を大阪でしていました。
一般的には田舎には、仕事がないので住めないと言われますが、教員の仕事は田舎にもあり、転職もできると思っていました。
教員の仕事は好きでしたが、学校の先生をやっていても社会がよくならないと感じることがありました。自分が思う良いことと学校で行っていることの方向が違う。
もちろん学校が進む方向を決める権限は、私にはありません。
教員を一生懸命やっても、自分が思っている正しいこと・進みたい方向と違う可能性が高いと思うと自分が正しいと思うストライクゾーンに入っているプロジェクトに、やっぱり取り組みたいと思いました。
教員を辞めて、なにで食っていけるかと考えると、教育関係のこと、子どもたちと自然の中でキャンプをしたり、学童保育みたいなことはできるんじゃないかと思いました。子どもたちの学びの場を作ることで、それを軸に地域のコミュニティーができてきて、地域や学校も嬉しいのではないかと。
はじめは地域おこし協力隊として、ベーシックインカムではないですが、お給料をもらいながらはじめました。
あと、当時は独身だったので、比較的自由に人生設計ができました。
移住して地域に入っていくことの大変さ
永瀬
外から地方のコミュニティーに入って行くのには、苦労があったかと思いますが、その辺りどうだったか、教えてください。
大岩さん
地域の住人の皆さんの理解があるかないかが、何かやるときのポイントです。
消防団に入っているかとか、飲み会に行っているかとか、地域の共同草刈り行っているか、祭りの手伝いしているかとか、地元の人からしたらベーシックなことをやっているか、やっぱり見られています。
私は、性格的にそういうことに参加するのは、友だちもできるので、苦ではありませんでした。
あと、空き家や放置された森林は、地元のみなさんも困っていることで、困っていたところに若者が来て何かやるというのも良かったかもしれません。
はにわの森に来るのも、子どもや外国人が多かったので、面白いことをやっているみたいだし、暖かく見守ってくれている感じでした。
集落の外れてやっているのも良かった点。村のど真ん中でやってしまうと、よそ者がどれだけ良いことをしても、何か言われてしまうかもしれないですね。
参加者の感想
今回のコミュニティー勉強会には、カモンアップシェアハウスで、シェアハウスの管理やコミュニティー作りを担当しているコミュニティーマネージャーの皆さんにも参加していただきました。
Asami
飛び込む勇気がすごいと思った。コミュニティー なりわい塾 知らなかったので、参加してみたい。
Atsuko
シェアハウスは、一緒に住んでいるけれど、それぞれの暮らしがある生きるために絶対に一緒にやらないといけないことはないが、場所にあった一緒にやることを見つけてやっていきたいと思いました。住宅地だったら高齢者とか。
Daiki
人生の選択肢になってよかった。地域付き合い、スキル交換 原始的だけどやっていきたいと思っている。色んな人をつなげる、外部の繋がりのある人に繋いでいくのも仕事だと感じた。
Naho
シェアハウスでは、みんな忙しくしていて、なかなか時間・空間が揃いません。スタディーツアーや大人の修学旅行を企画して、みんなではにわの森に行きたいと思いました。
まとめ
コミュニティー作りに関しては、「三間」というキーワードが大変参考になりました。
時間・場所を共有する大切さはよくわかったのですが、忙しい社会人がどうやってその時間を捻出していくかが課題だとも感じました。
三間を大切にできる、自分にあったライフスタイルを見つけたいなと思いました。
地方移住に関しては、ハードルは低くないものの、現在では地方移住された先輩が地域に根付きつつあり、今から移住したい人は以前に比べれば比較的移住しやすいのではないかと思いました。
地域おこし協力隊などの制度もあるので、すでにある仕組みを活用していくのが、現実的な手段だと思いました。
今回の勉強会で心に残っているキーワードとして、「安心感」があります。
ひとつに依存し過ぎず、複数の選択肢をつことが、人生を豊かにするように感じました。
シェアハウスでは、一人暮らしでは味わえない、家に誰かのいる安心感、コミュニティーのある安心感を感じられる場所として運営していきたいと思いました。
シェアハウス運営を続けていることで、元住人さんをお招きしてコミュニティー勉強会を開催することができました。
これからも、各方面でコミュニティー作りを頑張られている先輩たちをお話を伺い、コミュニティーを大切にする人たちの和が広がればと思っています。