地域通貨がひらく新たな可能性

最近、「地域通貨」という言葉を時々耳にするようになりました。

「地域通貨」とは…

限られた特定の地域内やメンバー間だけで利用できる通貨。エコマネーとも言う。一般の通貨(円やドルなど)とは異なり、資産価値は持たない。例えば、ボランティア活動に対する報酬として、地元商店街のみで商品やサービスを購入できる地域通貨を発行するといった具合に、コミュニティの活性化などを目的に導入されるケースが多い。1980年代初頭にカナダで始まったとされ、日本でも約300もの地域通貨が報告されている。

コトバンクより

https://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E9%80%9A%E8%B2%A8-5714

いま、全国各地のさまざまな地域や団体で、この地域通貨を取り入れようとする動きが少しずつ始まっています。実際に導入しているところもあるし、勉強会などを開いて、導入に向けて準備しているところもあります。

私の周りにも、地域通貨に興味があるという知人が何人かいます。彼らに、どういう点で関心があるのか聞いてみました。

Aさん「お金がたくさんある、というのは、学校で言えば一つの教科だけ得意な人みたいなもので、アンバランスだなと感じます。そこから降りて、自分たちのコミュニティ内でお金を循環させていくような仕組みが、私たちが生きている間にうまく形になるんだろうか?」

Bさん「被差別部落で支援のボランティアをしていたのですが、その地域では、子どもがお手伝いをしたら対価として地域通貨でお小遣いをあげるというしくみがあり、子どもの貧困問題に一役買っていました。また、原発からの避難民の支援活動をしているのですが、経済的問題から周囲にとけこめず孤立しやすい避難民にとって、地域通貨があればコミュニティを作りやすくなるかもしれないと思い、可能性に期待しています」

なるほど!

お金の切れ目は縁の切れ目、という言葉がありますが、お金は、うまく回れば、人と人とを繋ぐ縁ともなる。たとえば、素晴らしい音楽を聞いた時。心から感動した分を投げ銭としてカンパする時のワクワクした気持ち。思い入れがあって手放すのがつらい品物を、気に入ってくれた人にお互いの納得する値段で売れた時の充実感。そういう時、いい関係ができたな、お金っておもしろいなと思えます。そうしたワクワク感の部分を、もっと広げていけたらいいな…と思ったりします。

日本での実践例〜コミュニケーションツールとしての地域通貨〜

いくつかありますが、街ぐるみでやっているということで最も有名なのは、藤野(神奈川県)の「萬(よろず)」という地域通貨。

藤野地域通貨 萬屋ホームページ

参加者はメーリングリストで繋がっており、誰かに何かをやってほしい時にはメーリングリストで呼びかけます。そこで手を挙げた人がいれば交渉成立。やってもらったほうがマイナス、やってあげたほうがプラスを萬の通帳に記入するという仕組み。

特徴は、マイナスが増えたからといってペナルティがあるとか、破産したりすることはないし、プラスが多いからといって、偉くなるわけでもなく、あくまで、コミュニティ内のコミュニケーションツールとして役立っているということ。

萬を実際に使っている人に聞くと「お金がないと何もできない、という不安がなくなった。こんなにたくさん支え合える関係があるとわかって、すごく安心した」と話していました。

その人に萬の通帳を見せてもらいました。「車で送迎」「柿の皮むき」「犬の散歩」など書き込まれ、なんだかほのぼのした気持ちになりました…

私も友人たちと一緒にちょっとやってみたいなと思いました。通帳型の地域通貨の使用感がどんなものなのか、実際にやってみることで見えてくるものがあるんじゃないかと思えます。

世界では、銀行が独自に地域通貨を発行し、インフラ整備や医薬品の購入に使えるようにすることで貧困対策としたり、村単位の地域通貨をつくることで、失業者を減らし経済を改善させたといった成功例がいくつかあるといいます。

そうした話を聞いていると、日本でも、大手の銀行や自治体で地域通貨が発行され普及する日も遠くないような気がしてきます。

「しごと」に繋がる地域通貨

藤野の地域通貨のような「できること」「してほしいこと」をお互いにぐるぐる循環させる考え方は、とてもエコで今風で気持ちがいいなと感じます。ジモティーとかメルカリを使う感覚とも少し似ていますね。「あるべきものが、あるべきところにきちんと収まる」感覚というか。

私ができないことを、隣に住んでる人ができるので、任せる。逆に、私が得意なことを、できないからやってほしいという人がいれば、私がやる。それによってコミュニケーションも生まれて、人との関係が豊かになる。

顔の見える関係の中で、ものごとが循環するというのはシンプルでわかりやすくて、健康的だなという気がします。パズルのピースみたい。もしかしたら、世界はそうしてパズルをはめていけば、きれいな一枚の絵になるのかもしれない…そんな空想をいだいてみたり。

地域通貨がリアルに稼働している藤野では「地域通貨がなくなることがいちばんの理想だ」と言います。通帳がなくても、自然と「できること」「してほしいこと」が地域の中で循環して、みんなの生活が成り立つようになることがゴール。

人はみな、なんらかの役目を持って生まれてきた、という言葉を耳にします。地域の中で、みんなの「できる」が循環する社会であれば、そうした役目ということもよりはっきり分かりやすくなるのではと思います。日本一になる必要なんてない、コンペに勝つことがプロとなる条件ではないはず。お隣さんができなくて、自分にはできるからやる、そのシンプルな動きが、しごと、そしてその人独自の職業ということにつながってくるのが本来ではないのかなと思います。

もういちど、しごとの原点に帰ろう。地域通貨の広まりは、そういう動きが人々の中に芽生えてきたことのあらわれでもあるように思います。

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