伴走型支援士認定講座 その1

2月の初めに、「伴走型支援士認定講座」を受けに東京まで2泊3日で行ってきました。特定非営利活動法人ホームレス支援全国ネットワーク(北九州市)というところが主催する講座で、生活困窮者支援の最前線で活躍する専門家らによる講義を、朝から夕方までみっちりと受けてきました。すごいボリューム!

なぜ困窮者支援に興味を持っているかというと、前も少し書いたように、私自身が以前に、職を見つけるのに苦労して、生活に困っていたことがあったことや、友人で、生活に苦労している人がいることなどから、困窮は自分たちの問題だと思えるから。少し昔だったら、ホームレスになる人は特殊な人だと人ごとのように思えていたかもしれないけれど、今の社会では、いつ誰が同じ状況になるかわからない。私がシェアハウスに住んで、この「夢応援プロジェクト」ブログで書いている、いろいろな活動をしていることの土台には、その問題意識があります。

さて、「伴走型支援」について。
私もつい最近はじめて知った言葉でした。1月の末に、友人に誘われて行ってみた、困窮者支援をテーマとしたシンポジウムで、ホームレス支援全国ネットワークの理事長、奥田知志さんが講演の中で提唱されていたものです。奥田さんは、ホームレスを支援するNPO法人「抱樸(ほうぼく)」を北九州市に30年前に立ち上げられ、支援活動に実際に取り組む中で、支援の考え方を独自に確立された、伴走型支援の「父」のような存在。

困っている人に対して、従来の支援のように、たんに住むところや就業を見つけるといったピンポイントでの問題解決をするだけではなく、地域の中で安心して安定的な暮らしが続けていけるよう、複数の人や機関と横繋がりで連携しながら、その人の人生に寄り添い「伴走」していく。「出会ったら看取りまで」ともに走り続けることを目標とした、息の長い、そして人間らしくあたたかい支援のあり方で、今の時代にまさに求められているものだと思います。

私は奥田さんのその時の講演にたいへん感銘を受け、伴走型支援のことをもっと知りたい!と、はるばる東京まで講座を受けに出かけたのでした。ちなみに、シンポジウムに誘ってくれた友人(前回書いた、話し合いの場所づくりをやっている米田さんです)も認定講座を受講しに行きました。彼の存在はいつも心強い。同じ目的意識を持つ仲間がいるってすごくいいことです。

奥田さんの講演を思い出しながら、伴走型支援のことをもう少し書きます。
少し昔は「家族」や「会社」が比較的しっかりと機能していて、その中にいれば、よほどのことがない限り普通に暮らしていけるというような、ある程度の保障されていましたが、近年では、家族も会社も、昔ほど頼りになるつながりとは言えなくなってきています。その中で「何かあったら誰を頼ればいいのだろう」といった不安を、意識的にまたは無意識的に、多くの人が抱えるようになっているように思います。そうした無縁社会の中で、家族や社会に代わる新しい「縁」となる、人との繋がりや場所づくりが求められている。シェアハウスもその一つでしょう。「自立とはいくつかの依存先を持つこと」と最近よく言いますが、家族や会社だけではなく、いつも行くカフェであったり、勉強会であったり、そういう場所をいくつも持って、いろんな層の人間関係の中で自分に必要な支えを得ていく生き方が、これからの社会でスタンダードになっていくだろうし、伴走型支援の目指す方向性でもあります。

伴走型支援士は、困っている人たちが、そういう様々な依存先、頼れる場所を地域の中に見つけられるよう支援します。そうしていって、さらに先には、支援する人とされる人が固定するのではなく、地域に住む人みんなが、お互いに自分のできることで支え合って、誰一人孤立しないような仕組みがびっしりと張り巡らされた伴走型社会を目指します。

「より多くの人が健全に傷つく社会」「死なない程度に責任を分担する社会」を、と奥田さんは話していました。これまでの社会では、誰かが困っていても「自己責任だ」として、その人自身やその家族だけに100%の責任を押し付けるとともに「他人に迷惑をかけない」ことが良しとされていましたが、その結果、虐待とかDVとか子供の自殺とか、様々な問題が次々に顕在化してきています。ヒトはそもそも、生まれる時も母親以外の他人の手を借りて生まれてくるわけだし、死ぬときも看取りや葬式を必要とするという、本質からして、多くの人の間で、持ちつ持たれつして生きていくものなのだから、それを踏まえた支援のあり方を考えていかねばなりません。